現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲
現代音楽と言われても、そういった音楽ジャンルがあること自体知らない、という方が大多数なのではないかと思います。
知識として多少は知っていたとしても、敷居が高く難解なイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。
クラシックのみならず、ミニマル・ミュージックからアヴァン・ポップ、フリージャズ、ノイズ・アヴァンギャルドにいたるまで、現代音楽の影響は多くの分野で根付いています。
そんな現代音楽の名曲とされる楽曲を軸として、幅広い分野における楽曲を選出してみました。
- 美しきアンビエントの世界。一度は聴きたいおすすめのアルバム・名盤
- ミニマルミュージックの名曲|マイナーな作品も登場
- 【なんだこれ】世界の珍しい・ユニークな楽器まとめ
- 世界のゴスペル・シンガー。ゴスペル・ミュージックの名曲、おすすめの人気曲
- ラテン音楽を取り入れた邦楽。異国情緒あふれるおすすめのJ-POP
- ゴスペル初心者のための練習曲
- かっこいいクラシックの名曲。おすすめのクラシック音楽
- ジャズバラードの名曲、オススメの人気曲
- 美しきエレクトロニカ~オススメの名曲・人気曲
- 【洋楽】フュージョンの名盤。一度は聴きたいおすすめのアルバム
- 音楽がテーマのおすすめ映画
- 浮遊する電子音楽~アンビエント・テクノの名曲まとめ
- フルートの名曲。一度は聴いてみたい世界の名演
- ジャズバンドの名曲。おすすめの人気曲
現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲
A Rainbow in Curved AirTerry Riley
テリー・ライリーさんは、スティーヴ・ライヒ さんやフィリップ・グラスさん、そしてラ・モンテ・ヤングさんらと並んでミニマル・ミュージックの代表的な作曲家として挙げられる存在です。
2020年の2月、新プロジェクト実施のために佐渡島へ来日していたライリーさんが、パンデミックの影響もあり、85歳という年齢でそのまま日本へ移住することを決意したことも記憶に新しいですよね。
そんなまだまだバリバリ現役なライリーさんが1969年にリリースした、2曲入りの傑作『A Rainbow in Curved Air』の表題曲を紹介します。
1つのフレーズが反復していくミニマル・ミュージックの手法を軸として、オーバーダビングを用いた電子オルガンやハープシコード、タブラッカといった楽器で生み出された18分をこえる音世界は、まさに虹色のサイケデリアのごとし。
どこか異国情緒を感じさせる、というのもポイントです。
あのザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントさんがこの曲に影響を受けて名曲『Baba O’Railey』を作ったという逸話も踏まえると、この楽曲の偉大さが理解できるというものでしょう。
(KOH-1)
Music for 18 MusiciansSteve Reich
現代音楽というカテゴリーの中で、ミニマル・ミュージックと呼ばれるジャンルが存在します。
クラシック音楽を源流に持ったミニマル・ミュージックは、ミニマルという言葉が持つ意味の通り、音の動きを最小限に抑制した上で、1つのパターンが反復していく手法で生み出される音楽。
後のミニマル・テクノなども、そういったミニマル・ミュージックの音楽的方法論を取り入れたジャンルの1つです。
そんなミニマル・ミュージックを代表する作曲家、スティーヴ・ライヒさんの名曲『18人の音楽家のための音楽』を紹介しましょう。
1974年の5月から1976年の3月にかけて作曲され、複数のモチーフが反復しながら少しずつ楽曲が変化していくミニマル・ミュージックの基本的な音楽構成を持ちながらも、タイトル通り演奏には大規模な編成を要求され、音楽の歴史に新たな可能性を生み出した重要な作品と言っても過言ではないでしょう。
難解のようで意外に聴きやすく、既存のメロディとは違う豊潤な響きを持ったフレーズが繰り返される中で、受け手は体験したことのない世界の扉を開く事となるでしょう。
(KOH-1)
Un tranquillo posto di campagna, Pt. 11Ennio Morricone
2020年7月26日、映画音楽の歴史において最も重要な作曲家の1人であるエンニオ・モリコーネさんが91歳の生涯を終えました。
1928年にイタリアはローマで生まれたこの偉大なマエストロは、1960年代初頭に映画音楽家としてデビューして以来、映画史に残る素晴らしい楽曲を生み出し続け、映画の添え物ではなく、時には主役級の輝きを放つスコアを提供し、名画の誕生に貢献したとも言えるでしょう。
そんなモリコーネさんは『荒野の用心棒』などの初期のマカロニウエスタンにおける哀愁漂う名曲、または『ニュー・シネマ・パラダイス』などのメロディアスで美しい作風以外にも、実験的な音楽家としての顔を持っています。
今回紹介している楽曲は、1969年に公開された『怪奇な恋の物語』のサウンドトラックで、モリコーネさん自身が所属していた即興演奏グループによる現代音楽ど真ん中のサウンドを聴けば、一般的なモリコーネさんのイメージはがらりと変わるはずです。
モリコーネさんによるトランペット演奏も含まれており、複雑怪奇でトライバル、原始的な音の祭典のような曲も作ってしまうマエストロの新たな一面を、ぜひこの機会に知ってください!
(KOH-1)
世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen
1908年生まれ、フランスはアヴィニョン出身のオリヴィエ・メシアンさんは20世紀を代表する現代音楽家というだけでなく、オルガン奏者やピアニストでもあり、音楽教育者としても業界に多大なる貢献を果たした偉大な人物です。
メシアンさんの教えを受けた学生は、ピエール・ブーレーズさんやカールハインツ・シュトックハウゼンといった著名な方々がいることだけ見ても、メシアンさんが音楽史においてどのような立ち位置にいるのかがわかるというものでしょう。
そんなメシアンさんは作曲家としても多くの作品を残しておりますが、今回は第二次世界大戦中に収容所で捕虜となっていた過酷な時期に作曲された『世の終わりのための四重奏曲』を紹介しましょう。
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという異色の編成で演奏され、新約聖書「ヨハネの黙示録」から着想を得た宗教的な背景を持つ室内楽の大作です。
作品そのものの革新性や素晴らしさはもちろん、特殊な状況下で作曲された歴史的事実やどのように初演を迎えたのかなど、興味のある方はぜひご自身で調べてみてくださいね。
(KOH-1)
TelemusikKarlheinz Stockhausen
現代音楽、そして電子音楽への興味を持たれている方であれば、必ず一度は体験しておくべき楽曲の1つでしょう。
作曲を担当したのは、ドイツが生んだ現代音楽家の巨匠カールハインツ・シュトックハウゼンさん。
もともとはピアノを習っていた音楽少年で、ピアニストとして生計を立てていた時期もあったそうです。
同時に哲学なども学び、フランスに拠点を移してからは作曲家として世界で初めての電子音楽を作曲、戦後の前衛音楽の旗手として活躍します。
今回紹介している『Telemusik』は、初来日した1966年の1月23日から3月2日にかけて東京のNHK電子音楽スタジオにて制作されたもの。
日本の雅楽をはじめとして、世界中の民族音楽を素材として生み出されたこのこの楽曲は、電子音楽の歴史に刻まれる偉大な作品となりました。
ちなみにシュトックハウゼンさん自ら、日本という国は「すてがアートだ」と表現するほどに影響を受けたことを公言しているのですよ。
(KOH-1)
海の音調への練習曲Salvatore Sciarrino
何はともあれ、この楽曲については演奏動画をご覧いただきたいです。
カウンターテナー、フルート四重奏、サクソフォン四重奏、パーカッションという編成に加えて、なんと100本のフルートと100本のサクソフォンで表現する壮大な音響実験の如き作品なのですね。
200人以上の奏者がステージに立つ姿だけでも壮観ですが、そもそもこれをやろうという発想自体に感服してしまいます。
原題は『Studi per l´Intonazione del Mar』というこちらの楽曲を生み出したのは、イタリア出身の現代音楽作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノさん。
基本的に独学で作曲を学ばれたそうで、常識的なクラシック音楽の理論では絶対に表現できない、シャリーノさんの独創的な作品群は高く評価されています。
こちらの楽曲も、いわゆるメロディアスで美しいフレーズなどは皆無、まさしく海そのものが生み出す音の調べであり、できればCD音源ではなく実際にホールで体験すべき音世界であると言えましょう。
(KOH-1)