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現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲
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現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲

現代音楽と言われても、そういった音楽ジャンルがあること自体知らない、という方が大多数なのではないかと思います。

知識として多少は知っていたとしても、敷居が高く難解なイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。

クラシックのみならず、ミニマル・ミュージックからアヴァン・ポップ、フリージャズ、ノイズ・アヴァンギャルドにいたるまで、現代音楽の影響は多くの分野で根付いています。

そんな現代音楽の名曲とされる楽曲を軸として、幅広い分野における楽曲を選出してみました。

もくじ

現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲

春の祭典Igor Stravinsky

一般論として言われている20世紀初頭から第二次世界大戦の終わり頃にかけて生まれた近代音楽、そして戦後からの現代音楽を語る上で最も重要とされる作品の1つが、こちらの『春の祭典』です。

ロシアが生んだ20世紀を代表する作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキーさんによるバレエ音楽で、英題は『The Rite of Spring』。

その独創的なスタイルと当時の常識から外れたアプローチが与えた衝撃はすさまじいものがあり、初演においては怪我人が出るほどの騒ぎとなったほどです。

斬新な不協和音の使われ方や、着地点が予想できないほどの複雑なリズムが展開していく様は、るあたかも古代の宗教的儀式が持つ原始的なエネルギーを目の前にしているかのよう。

この作品をオーケストラで聴くこと自体が、貴重な音楽的体験と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、ストラヴィンスキーさんはこちらの『春の祭典』以外にも『火の鳥』と『ペトルーシュカ』という歴史に残るバレエ音楽を手掛けております。

興味を持たれた方は、そちらも合わせてチェックしてみてくださいね。

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Epitaph for MoonlightRaymond Murray Schafer

いわゆる「サウンドスケープ」という概念を提唱したことで有名なカナダの作曲家、レーモンド・マリー・シェーファーさん。

日本の合唱団のために書かれた合唱曲も多く、残念ながら2021年の8月14日に亡くなられてしまったことも記憶に新しいですね。

そんなシェーファーさんが1968年に発表した『Epitaph for Moonlight』は、邦題では『月光への碑文』と呼ばれる人気の作品です。

学生合唱団のための練習曲として書かれたものだそうですが、楽曲の持つ幻想的かつ神秘的な響きは聴いているだけで厳粛な気持ちにさせられます。

メイン・フレーズの反復やきっちりとした拍分割をするタイプの楽曲ではなく、自由度の高さが特徴的で、無伴奏や金属打楽器群を用いて演奏される場合もあり、それぞれのパートが個性豊かに表現しながら、1つのアンサンブルを作り上げていく様は、まさに「音の風景」というべきものかもしれませんね。

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ノヴェンバー・ステップス武満徹

日本における現代音楽家の代表的な存在として、世界的な知名度を誇るのが武満徹さんです。

世界中の有名な演奏家が武満さんの作品をプログラムに取り入れたいと希望するなど、現代音楽の枠内をこえて「世界のタケミツ」と呼ばれるほどに偉大な作曲家であり、その功績は計り知れないものがあります。

1930年に東京で生まれ、ほとんど独学で音楽を学んでいたという武満さんの名前を世界に知らしめた作品といえば、やはりこちらの『ノヴェンバー・ステップス』でしょう。

西洋音楽のオーケストラと純邦楽的な要素、琵琶と尺八を組み合わせた画期的な作品で、もともとはニューヨーク・フィルハーモニック125周年記念委嘱作品の1つとして1967年に作曲されたものです。

西洋音楽と東洋音楽の融合なのか、対比なのか……聴く人によって受け取り方が違いそうだというのも実におもしろいですね。

初演以降、世界中のオーケストラで演奏され続けている作品ですから、さまざまな時代の録音を聴き比べてみる楽しみもありますよ。

とはいえ、できれば映像とともに体験していただきたいところですね。

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SinfoniaLuciano Berio

1968年から1969年にかけて作曲された『Sinfonia』は、ニューヨーク・フィルハーモニックの125周年を記念して委嘱された作品です。

作曲を担当したのは、イタリアの著名な現代音楽作曲家のルチアーノ・ベリオさん。

ピアノ~クラリネット奏者として活動するも軍隊生活の中で右手を負傷、その後はいわゆるミュージック・セリエルに興味を抱きつつ、1950年代には電子音楽へと接近。

70年代にはオペラに取り組むなど、多くの領域で活躍した多作なタイプの作曲家です。

そんなベリオさんが手掛けたこちらの『Sinfonia』は5つの楽章で構成されている、8人の混声重唱を伴う管弦楽曲で、それぞれの楽章に興味深いテーマが設けられています。

細かい説明は省きますが、社会人類学者のクロード・レヴィ=ストロースの引用から始まって、キング牧師へのオマージュと言える第二部、マーラーの交響曲第2番「復活」を始めとするさまざまなクラシック音楽や詩人の言葉などのコラージュ……と、何とも不思議な世界が繰り広げられる前衛的なオーケストラです。

元ネタを知っている方が楽しめますから、先にこの作品で引用されている曲などを調べた上で、聴いてみるのもいいかもしれません。

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The HoursPhilip Glass

いわゆるミニマル・ミュージックと呼ばれる分野の立役者の1人であり、現代音楽家の巨匠であるフィリップ・グラスさん。

アメリカはメリーランド州ボルチモア生まれのグラスさんは、音楽大学の名門中の名門であるジュリアード音楽院で学び、クラシック音楽の教養を持ち合わせながらも、前衛芸術から映画音楽、ポップミュージックにいたるまで数多くの分野で活躍している、音楽史にその名を刻む鬼才アーティストです。

今回はグラスさんが手掛けた多くの映画音楽の中から、2002年に公開された『めぐりあう時間たち』の表題曲を紹介します。

重厚なストリングスの中で、美しいピアノのフレーズがミニマルかつ複雑にリフレインしていく様は、まさに異なる時間軸を描いた映画本編のように、時の流れを表現しているかのよう。

繰り返し聴きたくなってしまいますね。

現代音楽やミニマル・ミュージックは難解な作品も多いですが、まずはこういった美しいピアノ曲から現代音楽家の作品に触れてみるというのもいいでしょう。

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