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【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!
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【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!

ある程度洋楽に詳しい方であれば、ネオアコースティックという音楽ジャンルの存在をご存じでしょう。

お好きな邦楽アーティストが影響を口にしていて知った、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

1980年代初頭のイギリスにおいて、後に名門と呼ばれるいくつかのインディーズ・レーベルからアコースティック・サウンドを軸とした音楽性を独自に表現するバンドが多く生まれ、それらを総称して日本の音楽メディアがネオアコースティック、略して「ネオアコ」と呼んだのが始まりとされています。

本稿では、そんな「ネオアコ」のまずはこの1枚な名盤をピックアップ、基本ということで今回はイギリスのバンドをメインで紹介します!

【青春の輝き】ネオアコースティックの名盤。ネオアコ基本の1枚!

Steve McQueen

AppetitePrefab Sprout

ネオアコの名盤というだけでなく、1980年代の英国ロックが生んだ素晴らしいメロディの魔法が詰まった大傑作!

1982年に結成されたプリファブ・スプラウトは、中心人物のパディ・マクアルーンさんによる飛び抜けたソングライティング・センスを軸として生み出された名盤や名曲の数々が高く評価されており、商業的にも成功を収めたバンドです。

そんなプリファブ・スプラウトが1985年にリリースしたセカンド・アルバム『Steve McQueen』は、タイトルでも分かるように著名な俳優からタイトルを拝借しており、アメリカでは当時はそのままの名前ではリリースできずに『Two Wheels Good』というタイトルで発売されたという経緯もある1枚。

冒頭で述べたように、永遠に色あせないエバーグリーンなメロディがこれでもかと詰め込まれた楽曲がずらりと並ぶ、ネオアコという枠内に収まらない魅力を放つ名盤なのですね。

美メロが際立つ『Bonny』やイントロからしてもう切なさ炸裂な『Appetite』など、ネオアコのコンピレーション盤でもよく収録されている名曲を多数収録しております。

『Horsin’ Around』辺りなどに顕著ですが、紅一点のウェンディ・スミスさんによるコーラスがいい味出してますよね。

音楽プロデューサー、シンセサイザー奏者としても有名なトーマス・ドルビーさんによるプロデューサーとしての手腕も冴え渡っており、バンドのポテンシャルを最大限に引き出しているところにも注目してみてください。

KOH-1

You Can’t Hide Your Love Forever

Falling and LaughingOrange Juice

アズテック・カメラと並んで、ネオアコースティックの代表的なバンドといえばこちらのオレンジ・ジュースです。

ネオアコやギターポップの聖地、グラスゴー出身の彼らは1979年にオレンジ・ジュースとしての活動をスタートさせ、3枚のフル・アルバムを残しながらも1985年にバンドは解散。

中心人物のエドウィン・コリンズさんは、ソロ・アーティストとしても音楽プロデューサーとしても成功を果たしていますね。

そんなオレンジ・ジュースの1982年の記念すべきデビュー・アルバム『You Can’t Hide Your Love Forever』は、改めて聴くとネオアコらしいメロディや響きは随所に感じ取れるものの、クリーン・トーンで独特のフレーズを奏でるギターや動き回るベース・ライン、タイトなドラムスは明らかにポスト・パンク的であり、決して技巧的というわけではないのですが、イメージとしてのネオアコとはまた違ったサウンドを奏でているのですね。

コリンズさんの憂いを帯びた深みのあるボーカルも個性的ですし、アル・グリーンさんの楽曲『L.O.V.E. Love』をカバーしていることからも分かるように、ソウルやR&Bといったジャンルからの影響も感じられるのが実に興味深い。

ネオアコ的には、イントロのアルペジオだけで胸がキュンとなってしまう『Dying Day』や、ギタリストのジェイムスさんが作曲を手掛けた『Wan Light』辺りを聴いてみてください!

KOH-1

The First Picture Of You

No Sense of SinThe Lotus Eaters

『青春のアルバム』と名付けられた邦題がすべてを物語る、80年代ネオアコの大・大傑作!

1982年にロータス・イーターズがリリースしたデビュー・アルバムで、バンドはこの1枚だけを残して解散。

後に中心人物の2人のデュオとして再結成、2枚のアルバムをリリースしていますが、全盛期にたった1枚のアルバムだけを残した、というのがいかにもネオアコらしく貴重で儚い価値をさらに助長させたというべきかもしれません。

日本のネオアコ好きの中でも人気の高い1枚であり、一時期は廃盤状態が続いて高騰していたこともありましたが、無事にリマスター盤として再発されました。

そんな本作は他のネオアコと比べても際立った透明感があり、キーボードを多用したニューウェーブ的な音とリヴァプール出身らしいアコースティック・ギターのアルペジオが重なり合い、伸びやかで美しいビブラートの持ち主であるピーター・コイルさんの中性的な歌声で紡がれるメロディはどこまでもロマンティック。

『The First Picture Of You』や『German Girl』といったネオアコ史に残る名曲も多く収録されており、このアルバムもまた、ネオアコという音楽ジャンルを知る上で重要な1枚と言えるでしょう。

ネオアコに青春のきらめき、儚さ、揺らめきなどを求める方は絶対に聴くべきです!

KOH-1

Sittin’ Pretty

Nothing to be doneThe Pastels

ネオアコに限らず、80年代の英国インディー・ロックの中では歌も演奏もヘタだけど他にはない味わいで愛されているバンドが少なからず存在しており、そういうバンドこそを好んで聴いているファンも実は多かったりします。

スコットランド出身、カルト的な人気を誇るザ・パステルズは、まさにそういった技術的な良し悪しといった議論とは全く違う方向性で独自の音楽を鳴らすバンドです。

限りなくマイペースな活動歴の中でリリースしたアルバムは現時点で5枚ですが、今回紹介するのは1989年にリリースされたセカンド・アルバム『Sittin’ Pretty』です。

アコギのバッキングと歪んだギターの音色とのコントラストが独自の疾走感とポップさを生み出す名曲『Nothing to Be Done』をはじめとして、どこまでもゆるくヘロヘロしたサウンドながら、不思議と親しみやすいメロディが何とも味わい深い名作なのですね。

どちらかといえばオルタナティブロックやギターポップ的な質感が強いのですが、激しめのギターの中にもアコースティック・ギターの音色が随所に導入されているところに耳を傾けてみてくださいね。

そんなパステルズですが、1998年にリリースされたリミックス・アルバム『Illuminati』には、あのマイ・ブラッディ・バレンタインやステレオラブ、キッド・ロコといった面々が参加しているわけで、いかに彼らが愛されているのかが分かるというものでしょう!

KOH-1

Crumbling the Antiseptic Beauty

FortuneFelt

1979年に結成されたFeltは、非常に特異な美学と個性を持つバンドです。

キャリアの中で初期から中期にかけてチェリー・レッド、後期にクリエイション、というネオアコという意味でも英国ロック史においても重要な2つのレーベルに所属しており、その時期によって音楽性が異なるというのも特徴的なのですね。

クリエイション時代はあのプライマル・スクリームのキーボーディスト、マーティン・ダフィさんが在籍していたことでも知られています。

今回紹介している『Crumbling the Antiseptic Beauty』は、そんな彼らが1981年にリリースした6曲入りのデビュー・アルバムです。

『美の崩壊』という邦題、ボーカリストのローレンスさんの憂いを帯びた眼差しが鮮烈なアルバム・ジャケットがとにかく印象的で、後にネオアコやギターポップの名盤と呼ばれる多くの作品のプロデュースを手がけたJohn A. Riversさんがプロデューサーを担当しているのもネオアコ好きの間では有名ですね。

音程を無視したようなローレンスさんの独白調のボーカル、モーリス・ディーバンクさんによる繊細で美しいアルペジオの響き、ポスト・パンク由来のリズム、どれをとっても個性的で正直言えば万人受けする音とは言えないでしょう。

とはいえ、一度この音にはまったら抜け出せない魅力がありますから、FELTの持つ音世界にぜひ一度は足を踏み入れてみてください!

KOH-1

The Lost Weekend

WallflowerThe Monochrome Set

ネオアコやギターポップを語る上で欠かせないバンドと呼ばれながらも、英国らしいひねくれたセンスと高度な音楽性を持ち合わせた個性的なバンドとして、イギリスのインディーズ・ロック史にその名を刻むバンドがモノクローム・セットです。

一筋縄ではいかない彼らの魅力は1枚のアルバムで理解できるものではありませんが、ネオアコという観点でオススメしたいアルバムが、1985年にリリースされた通算5枚目のアルバム『The Lost Weekend』です。

残念ながら商業的には成功せず、本作をリリース後にバンドは一度解散してしまうのですが、フロントマンのビドさんが持つポップ・センスが際立つ1枚となっており、非常に聴きやすい作品となっているのですね。

ネオアコ~ギタポのコンピレーション盤で取り上げられる率の高い名曲『Wallflower』や、フリッパーズ・ギターの『Hello』の元ネタと言われている『Jacob’s Ladder』といったポップなキラーチューンはもちろん、哀愁漂うアコースティックなスロウ・ナンバーも素晴らしいアルバムです。

初期の音楽制作において重要な役割を担っていたギタリスト、レスター・スクエアさんが脱退後の作品ということで賛否両論な評価も受けるアルバムですが、まずは本作から彼らの世界に足を踏み入れてみるというのは決して悪くない選択肢のはず!

KOH-1

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